クレジットカード支払いや電子マネー決済、QRコード決済などの支払い方法に対応しているキャッシュレス決済対応の券売機は、様々な小売店舗や飲食店、公共サービスの支払に利用されています。現金を取り扱う必要がなく、釣り銭の返金などが不要になるため、利用者の操作時間が短縮され、回転率を高める効果が期待できます。キャッシュレス決済の中で、QRコード決済に対応する券売機は、ファストフードや公共交通サービスで利用できるようになり、普及が進むことが予想されています。

ファストフードの店舗などで、QRコード決済に対応した券売機が登場

QRコード決済は、店舗のレジや券売機から提示されるQRコードを読み取り、専用のスマートフォンで支払いを完了させる決済方法です。QRコードは店舗情報や商品情報、請求金額といったデータが連動されており、コードの確認によって支払額などを確認します。また、キャンペーン情報などを紐付けることも可能です。

QRコード決済などのキャッシュレス券売機には、現金の券売機に比べて多くのメリットがあります。操作に慣れると、現金で購入するよりも早く決済が完了し、購入待ちの列を緩和することも可能です。現金の取り扱いがなくなることで、通常の券売機のように釣銭の補充などのメンテナンスも必要なく、売上管理がスムーズです。また、盗難などのセキュリティリスクも少なくなります。

レジで店員に対してQRコード決済を使って支払うよりも、QRコード決済対応の券売機で支払うほうが、消費者が感じる心理的な負担は軽く済みます。QRコード決済をレジで行うには、スマートフォンを開いてアプリを開くなどの操作や、支払うQRコード決済サービスの種類を告げるなどのやり取りを行う時、レジに長い列ができていればプレッシャーを感じてしまいます。それに比べると、券売機の場合は一人ひとりがチケットを買う時間が短くなりがちで、マイペースで決済することができます。ファストフードの店舗などでは、QRコード決済に対応した券売機が登場しています。

QRコード決済券売機で電車やバスの料金支払い、乗り継ぎにも

QRコード決済の券売機は、公共交通サービスにも広がりを見せています。JR西日本(西日本旅客鉄道)は、QRコード決済対応の券売機でAlipayとWeChat Payによる決済サービスを展開しています。これはインバウンド(訪日外国人観光客)向けのサービスで、「Alipay」「WeChat Pay」できっぷを購入することができます。

そして、国内の利用者にも対応できるように、自動改札機でQRチケットを利用できるサービスを2024年4月からスタート。自動改札機で「KANSAI MaaS」アプリ、「tabiwa by WESTER」、「インバウンド向けQRサービス」のQRチケット(周遊券など)を利用できるサービスです。

また、関西の私鉄各社なども2024年6月からQRコードを活用したデジタル乗車券サービスを開始します。「スルッとKANSAI協議会」の加盟事業者のうち、Osaka Metro、大阪シティバス、近鉄、京阪、南海、阪急、阪神の7社で導入する予定です。24年6月に開始するQRコード乗車券の名称は、「スルッとQRtto(スルッとクルット)」です。

協議会に加盟する鉄道・バス事業者が共通で利用することを前提に構築したサービスで、国内外の利用者自身のスマートフォンでQRコード乗車券を購入し、そのままチケットレスで電車やバス、観光施設等を利用することができます。開始時点では7社の導入ですが、導入事業者の拡大を予定しています。

このほか、熊本市交通局では、 路面電車の熊本市電において、2023年4月からクレジットカードのタッチ決済とQRコード決済を運賃支払いに利用できるシステムを全車両に本格導入しています。2022年から実証実験を行った結果、利用が見込めることが確認できたため、本格導入に踏み切っています。

オフィスや工場内の決済を便利に。社員食堂にQRコード決済券売機

QRコード決済機能搭載の券売機は、オフィスや工場内の社員食堂などでも活用されています。多くの従業員が勤務している会社では、ランチタイムの社員食堂は大変混雑します。券売機の前には長い行列ができることも珍しくありません。QRコード決済で支払いを済ませられるなら、行列は緩和されるほか、社員は財布を持たなくても済むし、財布に細かいお金が入っていなくても支払いができます。

オフィスや工場の中には、自動販売機や売店、設置型コンビニなど、支払いが発生する様々なサービスがありますが、これらをQRコード決済で行えるようにすることで、非常に便利になります。スムーズに決済ができるため、支払い時間を短縮し、結果として休憩時間の有効活用につながります。従業員満足度の向上も期待できるほか、社員に対する福利厚生サービスを提供している場合、社員食堂の利用などの情報を一元管理することも可能になります。



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